2007年10月5日金曜日

オンライン小説【Very Short】英語⇔日本語 第11話 ~Treasure~

第11話   大切なもの  ~Treasure~


  公園を囲む木々が西日を半分遮っている。その奥に、公衆トイレの壁が見えた。

明日の朝また同じ時刻に…、とそこまで考えて、律は頭を振った。見られた以上

場所を帰るかもしれない。この町に、あとどれくらいの数の公衆トイレがあるか

見当もつかない。それに、いつも公衆トイレではないかもしれない。切りが無い。

  The trees, surrounding the park was shutting half the lights from

the declining sun off. Between the trees Ritsu could see the wall of the

toilet. She stared at it and started thinking “maybe tomorrow morning

at the same time like this morning…” The she shook her head telling

herself that they would not come back there because they had been

seen about what they were doing, besides that she had no idea about

how many other public toilets this town had, and on top of that,

they might not always use a toilet. It was endless.

  律は、こうやって公園に来たのは、タミラにまた会えるのかもしれない、

そう思っていた自分に気がついた。なぜかまたタミラと出会うようなぼんやりとした

予感がしていたのだった。緑がかった栗色の髪、光を帯びた強い眼差し。

どんなファッション雑誌のモデルより遥かに美しいタミラの顔は、思い起こす度に

鮮明になっていった。

  ふと見ると、クッキー&クリームのクッキーは、暑さで溶けたクリームを吸って

ふにゃふにゃになっていた。もはや液体状になったアイスクリームの最後の

ひとすくいを口に運び、律は空になったカップを手に立ち上がった。肌を焼く

暑さは無くなり、太陽の日差しはいつの間にか公園の木々の向こう側に落ちていた。

  Ritsu finally realized why she came to the park this afternoon.

She had vague thought, rather a hunch to meet Tamira again,

a young woman with greenish chestnut color and beaming eyes.

Tamira was far more beautiful than any models on covers Ritsu

had ever seen. Every time Tamira's face popped up on Ritsu’s mind,

the beauty of her face became more vivid.

  Ritsu noticed the ‘cookie and ream’ had totally melted by

the summer heat and the chips of cookie softened having absorbed

the liquidated ice cream. She scooped the rest, put it into her mouth,

and stood up with the empty ice cream cup. The heat parching Ritsu's

skin was gone and the sunlights were completely shut off by the trees.

  家に戻り、玄関を開けると、義母が廊下の奥から飛び出してきた。

 「りっちゃん、もう四時半よ。今日は学校十二時までのはずだから、心配で

学校や由美子ちゃんの家に電話しちゃったわ。携帯繋がらないし。ああ良かった。

連絡してくるわ。気に掛けてくださっている方達に。」おろおろした義母の目に

うっすらと涙が浮かんでいた。

いつも冷静で穏やかな義母が動揺している姿を、律は初めて見た。

  When Ritsu got home and opened the door, her stepmother ran out

the corridor from the inner place of it.

  “Ri-chan, it is four thirty. The school dismissed four hours ago.

I called the school and Yumiko’s. Nobody knew where you were and,

I tried your cell off course but it was disconnected. I was just

so worried. Well, my goodness I am relieved. I’d better make phone

calls there are people concerning about you.”

  Ritsu saw her moist eyes as she talked. Ritsu had never seen her

stepmother jolted like this because she had always maintained

her calmness in front of Ritsu.

 「ごめん」

 律が目を伏せてそう言った途端、義母の表情が崩れた。

 「いいのよ。私、騒ぎ過ぎちゃったかもしれないわ。最近、嫌なニュースが多い

から、つい……。りっちゃんに何かあったら、申し訳が立たないもの」

 今朝、美坂公園で、教頭とタミラの密会を目撃していた最中、由美子が電話をかけて

きて、慌てて電源は切り、そのままにしていた事を、律は思い出した。義母は、

腰から巻いたエプロンで目をギュッと押さえ、律の手から空になったアイスクリームの

カップを手に取って、「ああ良かった」ともう一度自分に確認するように言い、

廊下奥のキッチンの方へ戻って行った。

  “I am sorry.” As soon as Ritsu said it with downcast eyes,

the stepmother's face was contorted.

  “No. No. I made a big deal out of it losing control of myself.

The news reports nowadays regarding girls put in trouble made me

feel so concern, I mean…if anything happens to you I can never

allow myself to make any excuses for that.”

  In the earlier morning while Ritsu staked out on the vice-principal

and Tamira at the park, Yumiko called Ritsu on her cell. She turned off

it in a fluster. Ritsu remembered since then she had left her cell phone

disconnected.

  Ritsu’s stepmother took her apron and pressed it around her eyes.

She took the empty ice cream cup Ritsu was holding, said

“I am relieved”one more time as if she had confirmed herself,

and went back to the inner corridor towards the kitchen.
 
  階段を上がりかけた律に、奥のキッチンから幾分落ち着きを取り戻した義母の声

が呼びかけた。

 「お腹空いたでしょう?冷やし中華そば作ってあるから一緒に食べよう」

 「うん」律は、大きな声で返事をした。「一緒に」と言った義母が、昼食を食べずに

待っていたのだと解かった。罪悪感を覚えた分、返事をした声が大きくなった。

  決して義母が嫌いなわけではなかった。ただ、受け入れる事ができないでいた。

律の中には、亡くなった母が居て、逝ってしまった後に築いた父との生活が、

まだ大切に存在していたからだった。

  As Ritsu was about to go upstairs, her stepmother called out

sounding she had regained calmness to some extent.

  “You must be hungry. I made cold Chinese-style noodle.

Let's have it together.”

  “O.K.” Ritsu answered loudly responding to her saying

“together” because Ritsu sensed that her stepmother had not

had lunch either but waited until Ritsu came home, so she got

a guilty feeling now and her “O.K” answer was loud accordingly.

Ritsu never disliked her stepmother.

  It was just that Ritsu had not been able to accept her.

Ritsu's natural mother who had passed away was still very much

alive in her heart. After her death Ritsu and her father built

their daily life from scratch and she had always cherished

those days very much.


FC2 Blog Ranking

Very Short 第12話へ

☆くつろぐ☆


人気blogランキング検索へ



World Top Blogs - Blog TopSites


小説についてのブログを表示する.

2007年9月30日日曜日

◎フィッシュストーリー◎

  伊坂幸太郎著フィッシュストーリー、個人的には「チルドレン」以来の秀作

ではないでしょうか。

この作家は、本当の社会をしっかり見て、自分の真実を妥協すること無く大切に

伝えようとしているように感じます。

  物語は、著者は誰もが善意や素直さをどこかに持っているのだと信じ、

長い年月を通して人から人へ、バトンを渡すようにラストシーンへ

と繋いでいます。

  ふと忘れていることを思い出す。著者の熱い眼差しを感じること

のできる素敵な短編です。週末、疲れた身体を休めながら

ゆっくり読んでみてはいかがでしょうか。

オリジナル小説【Very Short】連載中です。コメント歓迎です。

感想を聞かせて下さいね。英語で翻訳したバージョンは、英語小説を

読みたいと思う読者に、英語での言い回しに親しんでいただければ、

と思っています。ですから、直訳ではないので、同じ物語でも

日本語と英語では、小説の色合いが微妙に変化するところも

楽しんでもらえたら幸いです♪


FC2 Blog Ranking

☆くつろぐに参加しています☆

Very Short 第1話へ

人気blogランキング検索へ



World Top Blogs - Blog TopSites


小説についてのブログを表示する.

☆ 旅・Vacation ☆

 
  格安チケットは競争も激しいためか、割安になってきた今日この頃で、庶民にとっては嬉しいです。
私も、留学を決断する前は、普通のOLで暇さえあれば海外旅行をしていました。最初の頃はもちろん安心のツアーで。ロシア、フィリピンのセブ島、ハワイ、サイパン、シンガポール、バリ島、オーストラリアetc

でも、安心だからツアー、と言ってもトラブルは起きました。例えば、現地到着してホテルまでの送迎が3時間あまり来なくて、昼に到着するツアーを選んだのに、結局1日無駄になってしまった事もありました。そこで気づいたのは、“格安ツアー”の料金だけで選ぶのではなく、サポート体制がきちんとしている大手旅行会社が、やはり安心のツアーを提供していると思います。
  JTBは今なら出発の35日前までに予約すると大人1人につき¥8000引きである事を発見!これって、やっぱりお得ですよね。オンラインで行きたい国や料金設定から簡単に検索もできます。¥8000割引なら、その分を旅行先で使えますしね~☆安心感あるお得ツアー今年はJTBだと思います。


  旅行も慣れて、“もっと自由に行動したいなぁ”と思っている方、私も今では個人でセッティングして旅行します。
  今では、格安チケットとホテルを見つけ、2泊だけ予約をします。現地に着いた日はゆっくり過ごし、そのホテルが気に入れば、引き続き滞在。町を歩き、移動し、他に気に入ったホテルがあれば、そこにチェックイン。観光スポット、(リゾート地なら、近くの島☆)に行きたければ、現地の旅行会社で手配をします。この方が、ツアーより、よっぽど安上がりで、さらに、自分お手製の旅を楽しめます!Hotel Clubは、日本を含めて120ヶ国25000件、最大60%割引で格安ホテルから5つ星まで選べます。オンラインで詳細情報を確認できるので、チェックしてみてはいかがでしょうか。

  3月にコートダジュールに行った時の写真です。ニースまでの格安チケットをネットで調べて手に入れてから、海に近い場所にあるホテルを別個に探しました。まる10日間滞在&航空券代10万円でおつりがきました。バスターミナルが旧市街の近くにあるので、コートダジュール沿いに在るいろいろな街に行きました。旅先で心温まる出会いもあり、充実した旅になりました。HotelClubは、オンラインで簡単にホテル検索ができますし“ホテルクラブで世界各地のホテルを最大60%割引き予約”他と比べてだんぜんお得!行ってみたい国のホテル検索してみましょっ☆
 

  このblogに新連載の小説【Very Short】とは別に、他にもう一作品現在第4話構想中の小説 真珠湾 ~Lost in Seven Years~は、主人公のアメリカ人青年にとって大きな出来事がハワイの真珠湾で起き、それが理由で日本に再び訪れる、という所から始まっています。何が起きたのか、それが、この小説を通してお伝えしたい私のテーマであり、プロットとなっています。小説を英語で対比して読みたい、英語の言い回しに興味がある方のお役に立てばと思い、バイリンガル使用で、小説を段落ごとに日本文と英文交互に書いてます。もちろん自動翻訳機能を使うことなで一切していません。全て私の言葉で綴っています。
  ぜひ読んでみて下さい。一言感想大歓迎です。

FC2 Blog Ranking

人気blogランキング検索★


◇小説【Very short】第1話 解放感 ~Feeling Free~へ


◇小説【真珠湾】 ~Lost in Seven Years~ 第1話-7年ぶりの日本- へ