2007年8月11日土曜日

小説 【Very Short】第1話 ~Feeling Free~


- 前書き -
  翻訳者によって英語小説は微妙に小説の内容が変わる、とよく周りの人は言います。確かに、そうだと私も思います。ここに掲載する新連載小説【Very Short】は、英語の口語体で小説を書くことによって、説明的な文体にしないことで、英語でも小説の内容を楽しんでいただきたいと思います。

  女である、というだけで、まだ少女の子ども達が狙われる、そんな事実に対する警鐘、これが小説【Very Short】の題材となっています。少女である妹を持つあなた、娘を持つお母さん、そして少女であるあなたへ、発信しています。

- Forenote-
  Just because you are born as a female, you become targetted
by sex predetors. Unfortunately, this is the reality here in Japan, too.
  This novel,【Very Short】is written for the purpose of raising alert
on the issues with regard to victimization of young girls.
  【Very Short】is dedicated to you who have little sisters, daughters, and
is a girl yourself.


第1話 解放感 ~Feeling Free~



  律は久しぶりにすっきりした気分で目が覚めた。

今日から待ち望んでいた二学期が始まり、家に居る時間がやっと少なくなる。

充分時間に余裕はあったけれど、学校へ行く準備に心がはずんだ。

通学鞄を持って部屋を出ると、階下から父と義母の談笑している声が聞こえてきた。

二人の声は廊下を玄関の方へと向かっている。

  ―しらじらしい朝の会話なんてしたくない―

律は階段の上で父が会社に出かけるのを待つことにした。

  Ritsu woke up feeling refreshed like she hadn’t had in the long time.

She long waited for this day of starting a new semester in

the high school, meaning less time she had to spend at home. She had

far enough time to prepare herself for school but she couldn’t

help doing so anyway.

  When she went out of her room, she heard her father and

stepmother talking cheerfully. Their voices were moving down

the hall slowly towards the front door.

  ―I am not going to have a conversation with them like we are just

    one happy family―

  Ritsu decided to wait till her father would leave for work.

「今日は少し遅くなる」

父の声が聞こえる。玄関のドアが開くのと一緒に、早くも鳴き始めた蝉の声が

急にヴォリュームを上げたステレオのように家の中へ流れ込んで来た。

「今日も暑くなるらしいわ。こまめに水分摂ってね」義母の声。

玄関のドアが閉まるのと同時に二人の声は消えた。

  Ritsu heard her father talking.

  “I have a lot of work to do today, so I will be home late”

As soon as the entrance door opened, the early chirring of cicadas

in chorus came into the hall way as if a stereo had been turned on

to its max volume.

  “It will be hot today they say. Drink water often, O.K?”

said Ritsu’s stepmother.

  When the door closed, finally their voices were gone.

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くつろぐ 


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2007年7月27日金曜日

村上春樹の小説を英語で翻訳してみたら☆☆

  原書が英語の小説“The Long Good-Bye"村上春樹和訳版を読みました。

原書のセピアな雰囲気が一変し、現代に近いというよりは、都会的な色が出ていて、

とても楽しい。彼の言葉選びがとてもポップだな、という印象をうけました。

  この本がきっかけで、村上春樹のデビュー作「風の歌を聴け」を

読み返して見ました。

なぜか、とても新鮮に感じられ、詩的な余韻が残りました。

ちょうど、ストーリーの季節設定も夏だったせいか、蒸し暑い日々を一時忘れ、

心地良い風を感じ、何とはなしにノートに小説を自分なりに英語に翻訳してみると、

小説というよりは、poemに近い文体になりました。

これは、鼠という特殊な登場人物が存在するからではなく、著者の文章が美しく、

そして彼の芸術的な感性が夏のゆるい風のように、

読者を刺激しているように感じられます。

そのことが、小説「風の歌を聴け」の文章を英語にしてみてみると

一層際立つ感じがします。



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2007年6月30日土曜日

黄金比 Divine Proportion

  黄金比という言葉が最近までCMでも使われるなど流行っていましたが、もともとは小説『ダビンチ・コード』の訳書で使われたフレーズです。この小説を原書で読んでいた私は、日本で大ヒットして翻訳版を覗くまで“黄金比”と訳されている事を知りませんでした。実際は、“divine proportion”直訳すると神から授かった比率という意味なのですが、divineは特定の神を指すのではなく、単純に「神」という意味として使われます。例えばアメリカやイギリスなどの国で、クリスチャンが会話の中で通常「God]と言えばイエスキリストを暗に示し、divineとは言いません。

  なぜ黄金比という言葉に訳されたのかはともかく、小説「ダヴィンチ・コード」は、実はとてもシンプルな英語で書かれています。フィクションとノンフィクションを織り交ぜ、展開もすこぶる良く、週末に徹夜して読んでしまいました。ぜひ、原書を読んでみて下さい。分からない単語はとばして、前後の脈略からストーリーをくみ取りながら読み進めることが、英語で小説を読む際のコツだと思います。何度も出てくる単語のみ辞書で調べ、小説を英語で楽しんでみて下さい。著者が“divine proportion”に魅了された事が小説の随所で分かります。読んだ私も、宗教とは全く別に、敬虔な気持ちになりました。


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2007年6月27日水曜日

旅先での出会い

  掲載中の小説【真珠湾】~Lost in Seven Years~では、主人公のアメリカ人青年クリス(Christopher略Chris)が過去7年の間に目をそらし続け、悔やんでいる事にけじめをつけようと日本へ来る、というところから始まっています。休暇を楽しむ旅行であっても、ふと自分を振り返る瞬間、或いは全く予想もしなかった事に直面し、今まで考えたことの無かった何かを知る、というような経験は時に起こると思うのです。

  随分前の事ですが、私がシンガポールへ友人と一緒に旅行した時、とても考えさせる体験をしました。シンガポールは想像以上に発展している近代国家で、普段、都心で忙しくしている私達にとっては、あまり安らぐ事ができませんでした。3日目位だったと思います。フェリー乗り場を見つけた私達は、行き先が離れ小島だと知り、ホテルに戻り日常使うものだけを持ってフェリーに乗ったのです。
  その島には、オープンしているものの、外から見るとベランダはまだ建築中の部屋がある、という新築中のホテル一軒しかありませんでした。それでも、自然にあふれたその島がすっかり気に入った私達は、帰国するまで滞在する事にしました。
  ある朝、まだ夢の中の友人をそのままに、一人で海岸を散歩しに行くと、遠朝の海の中に立ち網を引いている黒く日焼けした老人がいました。私がその作業を何とはなしに見つめていると、彼は網と小さなバケツを持って浜へ戻ってきました。
  "Good morning"と、私。彼は、にっこり微笑んで"Good morning"。バケツの中には数匹の魚。今日はあまり獲れなかったのかと聞くと、その老人は、これで充分なのだと言いました。太陽と家族、それで充分、そしてその家族が必要な分だけの魚なのだと。私はひとり恥ずかしい思いをしました。もっと獲って売ればそれだけ収入になると自然に考えたうえで「今日はあまり獲れなかったの?」と尋ねたからです。
  必要な分だけ。太陽と家族。それで充分だと言った老人から、私は『お金お金』の社会に生きていることを痛く感じたのでした。

  その島で、もう1つ出会いがありました。滞在していたホテルは、東南アジアから出稼ぎに来ているたくさんの人達が働いていました。それも、ほぼ私達と同年代の20代前半(当時)の若い男女が多数でした。レストランで働く1人のインドネシア人の女の子、ティナと親しくなりました。私は、この島の人たちが食べに行くおいしいお店はないかと尋ねると、連れて行ってくれるというので、夕方ホテルの前で待ち合わせをしました。時間に行くと、小さなトラックの荷台に他のホテルの従業員も乗って、私達を待っていました。トラックは、道無き道をどんどん進み、誘拐されるのではないかと友人はかなり怖がっていたのも無理は無く、周りはまるでジャングルのような熱帯林でした。
  すると突然、視界が開け、真っ青な海と近くに小さな艀。その先に藁の様な物でできた屋根と木で造られた囲いが見えました。トラックが止まり、ティナがあそこよと言って、みんなが次々にトラックを降りていくので、私達は「うそでしょっ!?」と思いながらもその『お店』とやらに向かったのです。
  その『お店』には大きなテーブルが1つと小さな調理場。1人の男性が営んでいるようで、私達が到着するといきなり海に入って魚を獲り始めました。そして、そのまま料理が始まり、どんどん皿に盛って運んでくるのです。
見たことも無い魚の中には熱帯魚のような虹色のものまで。みんないっせいに食べ始め、私達もおずおずと口に運ぶと、これがなんとも美味。メチャクチャにおいしい。美しいサンセットを眺めながら『お店のテラス』で夕食を堪能したのでした。

  帰国する朝、前夜ティナが設けてくれたパーティーですっかり夜更かしした私達はセットしたモーニングコールもまるで聞こえず、熟睡状態。いきなり部屋のドアが開き、ティナの叫ぶ声。“You gonna miss your plain”
全員飛び起きました。飛行機に乗り遅れると心配して、ティナは部屋まで起こしに来てくれたのです。ティなの側にはホテルのクロークが立っていました。
  シンガポールまでフェリーで戻り、急いでホテルをチェックアウトして空港に向かい、本当にぎりぎりで搭乗に間に合いました。彼女は、ティナは、私達と同い年。彼女は出稼ぎで朝から夜まで働いて、のんきに旅行にやって来た私達に、ともかく親切でフレンドリーでした。帰りの飛行機の中で、私達は彼女や他のホテルで働く同年代の人達との交流を通して、意識はしてなくても自分たちはどこか与えられた環境に甘んじて、高慢になっているのではないかな、と話したりしていました。

  今まで旅した先で、本当にいろいろな出会いがありました。小説【真珠湾】~Lost in Seven Years~のクリスもまたそんな旅になります。
  バイリンガルと日本語で言うと、ちょっと実際の意味とは違って響きますが、Bilingualとはあくまで二カ国語で、という意味です。掲載中の小説は英語でも書いているので、二ヶ国語使用という意味でバイリンガル小説としています。日本文を英訳するというよりは、小説の内容を英語で書いています。これは、表現を大切にしたいと思っているためで、読者の皆さんへ英語ではこんな言い方もありますという紹介も兼ねています。


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小説【真珠湾】第1話 ~Lost in Seven Years~ へ
  

2007年6月26日火曜日

小説 真珠湾 第3話 ~Lost in Seven Years~
Chapter 3

  6月18日、僕はホテルをチェックアウトし、浅草にあるB&Bに向かった。日本に来る前にネットで調べておいた外国人専用のミツノ屋は、雑用を手伝う事を条件に、他のB&Bよりかなり安く値段を設定していた。ただ、どんな雑用なのかとメールで問い合わせたら、「その日によって異なります」との返信。それはそうだろうと困惑したけれど、僕がミツノ屋に興味を持ったのは値段の安さだけではなく、おもしろい選択肢があることだった。「B&B or B&Dからお選び頂けます。値段は共に¥2500」。ベッド&ブレックファスト、つまり朝の軽食付きが一般的なのに、ミツノ屋はディナーを選ぶ事ができるわけで、日本の物価の高さを考えれば、夕食付きとはありがたい。僕は、ミツノ屋のB&Dプランで予約した。

  On June 18, after I checked out the hotel, I headed B&B in Asakusa. Before I had come to Japan, I found Mitsuno-Ya accepting reservations only from foreign tourists on the net. What was interesting was that Mitsuno-Ya offered a much cheaper rate than any other B&B, on one condition that those who stay would need to do some chores. I e-mailed Mitsuno-Ya about what kind of chores would be. The answer read “They differ day by day” I got puzzled thinking I bet they were but still I made a reservation anyway at Mitsuno-Ya because it gave such an appealing choice as I could either get breakfast or dinner at ¥2500. B&B comes with Bed and Breakfast in general but Mitsuno-Ya offered dinner instead of breakfast. In Japan, everything is expensive. For that aspect I knew I should definitely go with B&D.

  昼間の東京。ビルで切れ切れになってはいるけど、最高の青い空。それにしても、7年前と比べて驚くほど高層ビルが増えた。路を行き来している人たちの中にはスーツを着た多くの外国人を見かける。僕が日本に滞在していた時とは比較にならない数だ。見覚えのある地下鉄の大きな入り口を見つけた。緑の輪に千代田線のローマ字表記。網の目状に張り巡らされている東京の地下鉄は、どこから乗ろうと目的地まで必ずたどり着く。

  In the daytime of Tokyo, it was a fine day with beautiful blue sky although it was cut in pieces by skyscrapers going right through. Compared to 7 years ago when I stayed in Tokyo, a surprising number of buildings and people had increased. Many foreigners were coming and going on the road. As I walked I found a big entrance for a subway familiar to me. It indicated the Roman alphabet, Chiyoda-line, with a green ring. The subway network in Tokyo spread like mesh of net leads to a destination no matter which station you would get in from.

  切符売り場まで降り、表示されている地下鉄地図を見て、僕は思わず呆然とした。高層ビルや人だけじゃない。地下鉄の数も増えていた。網の目と言うより、迷路を上から見ている様な感じだ。しばらく凝視し、浅草を発見。荷物の中からノートとペンを出し、浅草までのルートを線で繋いで書いてみると、乗り換え地点は、灰色の線・霞ヶ関とピンク色の線・人形町のたった2回だった。いくらの切符を買えば良いのかわからず少し迷ったけれど、確かあとで精算してもらえるはずだと思い出した。7年前になんども乗った地下鉄の光景が浮かんでくる。160と印刷された小さな切符を手に、さらに階段を降りる途中で、千代田線の各駅一覧が目に飛び込んできた。これはすごくわかりやすい。霞ヶ関は左2つ目で、眼下のホームは1つ。左側に入る電車に乗ればいいんだ。この迷路には、ちゃんと親切な道案内があるわけだ。

  At the ticket-vending machines I was stunned looking at the subway map. It was not just buildings or people but the number of subways, too, had increased and it was like huge labyrinth looking down from up not just mesh of net anymore. I found Asakusa though a little later as I looked the map closely. I took out a pen and notepad and drew lines connecting one with another toward Asakusa. Then, I realized there were only two transfers at Kasumigaseki showed in gray color and Ningyocho in Pink. I got bewildered for moment as to how much of a ticket I should buy for Asakusa but my memory from 7 years ago using this subway system many times back then brought up the fact that I could adjust the fare later.
  I went downstairs further to the platform holding a small ticket printed with number 160. On the way, the horizontal list of Chiyoda line grabbed my attention navigating each station and what other lines were linked by it. How convenient it was for me to see the first transfer point, Kasumigaseki was lined up two stations left to where I was right now. There was only one platform I could see below which means I should get on a train coming on the left side of it. After all, this labyrinth had a passenger-friendly guide.

  ホームへ降りると、たくさんの人が電車を待っていた。強い風を感じる。地下鉄の入り口で見た緑の輪。サイドに緑の太線が真直ぐに走る車輌がホームへ滑り込んでくると同時にゆっくりと速度を落として停車していく。現在の時刻は10:00。どうやら、ラッシュアワーの時間帯も増えたらしい。すでに満杯の車輌に、さらに乗り込もうとする人々。日本人は、本当に我慢強い。こんな風に一日を始めて、仕事に毎日通うなんて、アメリカでは有り得ない。僕は、その電車をやり過ごした。目の前のドアは空しく閉まり、電車は来た時と同様に風と共に行った。
30分後、僕と僕のポストンバックが入り込めそうな電車は当分来ないとさとった。とりあえず、ミツノ屋に予約確認の電話を入れ、他の交通集団を聞くことにした。残された時間は、あと5日しかない。

  There were many people waiting for a train on the platform. I felt strong wind. As I saw a green ring at the subway entrance, a train with a green-painted line on the side was coming in and stopping slowly. It was 10:00am. Apparently, rush-hour time zone had widened. The people who had waited on the platform started to get on the train packed already with so many passengers. I really thought that Japanese were very patient starting their day like this and going to work. Nobody would possibly put up with this in America. The door of the train closed hollow and it left generating strong wind just as it did when it came in.
  30 minutes later, I came to conclusion that there would be no train at this point in which my big traveling bag and I could squeeze. I decided to call Mitsuno-Ya to find any other transportation to get there. I've got only 5 days left.



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2007年6月3日日曜日

アメリカ名門大学への路② ~Road to a Prestigious University~

こんにちは Ranaです。
  最近、留学を無駄だとする記事をよく目にします。他国へ行けば、さまざまな印象や感想を個々が持つものだとは思います。でも私にとって留学した事は大きな財産となりました。今日は、私の個人的な経験を留学を振り返って、お話したいと思います。

  アメリカへ留学し、外から日本を見つめることが出来た事、非常に大切な経験になりました。今でも自分にとって大きな礎になっています。アメリカは、いろんな文化が入り混じり、多国籍の人々が大勢います。アメリカに留学している間、時にはぶつかり、議論し、そして本当の意味での交流を持つ事が出来ました。もちろん、憤慨する出来事もありました。一筋縄では行きません。でも、そこで多くの学びがあります。私が気づいた重要な点は、単にその国に滞在する事と、その社会に住む事では大きな差があるということです。

  生まれ育った環境(国)が違うからこそ、価値観や着目点は異なります。
「今のあなたの意見には同意できないわ。だって……」自分の意見をばっさり否定される、自分も人にNOと言える。そのNOは、意見として、ちゃんと受けとめられる。そして、「あなたは、どう思うの?」と、常に本音を求められる。つまり、自分の有りのままで日々生活できる、これが真の自由であることを、身をもって体感し、この事は永遠に私の大きな財産となると思います。

  留学を決意した後の私は、自分の趣味や好きな事にお金を使うのを止めました。渡米前の準備を万全にするため、TOEFLの学校に通い、そして、体験レッスンを受けまくり、自分が本当に納得できるスクールを見つけて英会話にも磨きをかけました。当時、職場で英語を日常的に使っていましたが、念には念を…と思ったのです。ショッピング、大好きな旅行も全て封印して、留学費用のために、出来る限り貯金しました。実際に留学決行まで、3年という時間を準備にかけました。地道にこつこつと…です。
 
  バイリンガル小説【真珠湾】へのコメントありがとうございます。英語と日本語同時に掲載していますが、英語で書いてから日本語版の言い回しを考える時もあれば、もちろんその逆もあります。英語で小説を書いている時、また違った空間がストーリーを書いている自分の中に生まれるような不思議な感覚を持ちます。
感想をお待ちしています。


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2007年5月31日木曜日

小説 真珠湾 第2話 ~Lost in Seven Years~
Chapter 2

   バスが赤坂に着いたのは、9時半近くになってからだった。事故が起きたらしく、高速道路は何百という車両が列をなしていて、僕たちが乗ったバスは20分おきに1m位進んで、やっとホテルに到着した。飛行機の12時間より、ホテルに到着するまでのこの4時間の方がよっぽど疲れた。座っているだけの僕らよりずっと疲れきった表情をした運転手に、僕はバスを降りる時に声をかけた。
「ありがとう。おやすみなさい」
「ありがとうございました」彼は丁寧なおじぎをする。
 バスの外に出ると、他の乗客が個々にコンテナーから出される自分たちの荷物を受け取ってる。皆疲れているのか、客どうしで言い争いが始まった。ホテルマンたちは冷静に対処しているけどしばらく続きそうだった。

  When the bus finally reached Akasaka, it was already close to 9:30pm. There was seemingly an accident causing hundreds of cars including our bus to line up on the freeway. I would say probably the bus went about 1m forward per 20 minutes to get to the hotel finally. It took me 4 hours to arrive in the hotel, which had exhausted me more than 12-hour fright. When I got out of the bus, I saw the driver whose face was full of fatigue. Understandably, we, the passengers were just seated while he did all the 4-hour driving.
“Thank you. Good night” I said.
“Thank you very much” he took a bow politely.
  Outside the bus, people were picking up their luggage and other stuff being unloaded from the built-in container on the side of the bus. They were so tired that some started to quarrel. The hotel men there were very calm dealing with them but the situation seemed to continue for a while.

  僕は、近くのスターバックスに向かった。荷物はこの大型旅行鞄1つだけだし、なんと言っても本当に気持ちの良い夜だった。時差ぼけと疲労からくるアドレナリンのせいなのかは分からないけど、僕の頭は妙にすっきりしていた。空は、高層ビル群の隙間から覗いているように見えるだけで、何となく、窮屈な感じがした。
  スターバックスは、賑わっていた。7年前に比べて、すっかり日本に定着したみたいだ。サイズ表示で陳列されているショートは、2口で飲み干せそうな感じだったから。僕は、カフェラテをトールでたのんだ。もちろん、料金はアメリカよりずっと高い。
  ポン、ポンとカウンターの中で音がする。ふと見ると、アイスモカのチョコレートを入れているようだ。ポン、ポン。6回。カウンターにベリーショートヘアの男が近づいて、そのアイスモカを受け取った。

  I headed Starbucks nearby. It was such a fine night anyway. Besides, all luggage I had was a large-size traveling bag. I was not sure what it was but jet lag or exhaustion or maybe both secreted adrenaline, invigorating my mind. Unfortunately though, the sky was crowded with so many skyscrapers and I could only see fragments of it.
  Starbucks was crowded, too. Compared to 7 years ago, the coffee shop had become established in Japan. Among displayed different sizes of cups, I knew the short would be probably finished with two sips, so I went for café la tea in tall. Oh well, the price was much higher in Japan than in America for the same café la tea though.
  “Pop, pop” I heard the noise beyond the counter. I looked that way and saw a shop staff pumping chocolate into a transparent cup to make an iced mocha. “Pop, pop” counting 6 times. A guy with very-short hair came up and the staff handed the special iced mocha over to him.

  この光景に僕は不思議な懐かしさを覚えた。そう、アキも必ず、「6回ね」と頼んでいた。「この甘さが、エスプレッソを引き立たせるのよ」とアキは、僕に味見させたけど、僕にとっては、かなり甘いココアに近い味に感じた。こんな好みの人間と人生で2度出会うのは、相当珍しい気がして、思わずくすくすと笑ってしまった。ベリーショートの彼は、アイスモカを飲むのをやめ、じろりとこちらを見た。僕が、自分のカフェラテを受け取る時も、ずっと僕から視線を外さずに居て、そして彼は店を出て行った。君を笑ったわけじゃないんだ、と言い訳するのも変だと思って黙っていたけど、彼もきっといつも、6回のチョコレートをリクエストする度に、ちょっとだけ恥ずかしいのかも知れない。アキも、最初の頃は目を丸くする店員に気まずそうな顔をしていた。もしかしたら、日本人は甘党なのかな。

  What I had just seen was strangely familiar to me. Yeah, it was Aki who used to ask always 6 pumps of chocolate for her iced mocha. “6 pumps O.K?”
  “This sweetness highlights espresso” she said and let me have a sip. To me, it was really sweet iced cocoa. I never thought that I would ever meet someone else who had the same preference for Starbucks’ iced mocha in my life again. I felt it was so unusual encounter that I chuckled. The very-short-hair guy stopped sipping his drink, spun around, and stared at me. He never let his eyes off me while I picked up my café la tea. Then, he just left. I would make him more uncomfortable if I had explained that I did not mean you, so I stayed quiet. Perhaps, he may always get embarrassed whenever he asked for 6 pumps. Aki, too, seemed to feel awkward at first because a staff gave her a 'really-6-pumps!?' look. Maybe Japanese were a sweet tooth.

  7年前、大学の夏休みに、僕はアキの国日本へ一緒に来た。彼女の生まれた国を見たかったから。3ヶ月近く、僕たちはずっと時を過ごし、京都や広島へ2人で旅をした。そして、新学期が始まる前に、アメリカへ帰国した。ハワイに立ち寄ってから。
  2人で訪れた真珠湾。
  この旅は、きっと全てが彼女を思い出す何かになるのかもしれない。多分そこから始めなければならないんだ。でも、僕は見つめる準備はできている

  I left the shop to go back to the hotel. His iced mocha made me warm and realized one thing. 7 years ago, after a spring semester I came to Japan with Aki in the summer because I wanted to see her country where she had grown up. Nearly 3 months we spent time together. We traveled in Japan, Kyoto and Hiroshima, too. Then, before a fall semester would begin, we returned to America. But we stopped by Hawaii to visit Pearl Harbor.
  I came to understand now that everything I would encounter in this trip, might lead to Aki and remind me of her. Probably, that was where I had to start. I was ready for that.


小説 【真珠湾】 第3話へ


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